診療現場からの報告

第220話 : 腹上死(性交死) [カウンセラー/森下]

嘘のようなホントの話ですが、腹上死(性交死)が最も多い季節は“春”だそうです。
ただ、実際は性行為中の急死はではなく、行為から数時間を経た就寝中に死亡される方が多い様です。

こうした腹上死(性交死)をされた方の特徴としては、飲酒後に性交渉をされていたという方が全体の30%を占めています。また、冠状動脈硬化、脳動脈瘤、心肥大といった潜在的疾患に気付かず腹上死(性交死)に至ったという方もおられます。
国内での突然死は、年間約75,000人と言われています。こうした突然死の約0.6~1.7%が腹上死(性交死)と言われています。つまり国内だけでもざっと年間450~1275人が 腹上死(性交死)されているという計算です。

普段70前後の心拍数も、挿入中は120に上がります。さらに、射精時には180にまで上昇します。これはマラソンを走るレベルの心拍数です。性行為の前に水分を補給し、挿入中は腹式呼吸しながらゆっくりと挿入を繰り返すことで身体への負担は軽減できます。
少し前に話題になった、スローセックスというやつです。

ちなみに女性の腹上死(性交死)というものは、耳にした覚えがありません。
これは性行為中の血圧の上昇に原因があるように思います。なぜなら、オーガズムに達したときの血圧は、男性では平均80程度上昇するそうです。対して女性の血 圧は40程度の上昇にとどまります。そして、呼吸や心拍数については男女でそれほどの差がありません。潜在的疾患がある場合、こうした急激な血圧の上昇は脳出血や、脳梗塞、大動脈瘤(りゅう)破裂、心不全や狭心症、心筋梗塞を引き起こす原因になります。
EDで悩まれている中高年の男性で、何らかの潜在的疾患をお持ちの方はかなり多いと思います。

ひと昔前に、バイアグラは心臓に負担がかかるという噂が流れました。もしかすると、こうした血圧の上昇が原因で起きた突然死も多かったのではないでしょうか?
何にせよ、日頃からの生活習慣や健康管理がいかに大切かという事です。当然、健康的な生活をされている場合、EDで悩む可能性も下がります。安心して満足度の高い性生活を送るためにも、無理のない範囲で生活スタイルを見直されてはいかがでしょうか。