診療現場からの報告

第208話:亀頭を大きく [カウンセラー/森下]

つい先日、亀頭を大きくする亀頭増大手術によって陰茎が壊死したとして、施術をした千葉県の美容外科と医師が提訴されたというニュースがありました。

こういった事故が起こると、よくその手術自体が問題視されてしまいます。しかし実際は手術自体に問題があるわけではなく、施術を行う医師の技術不足や経験不足によるものや、使用した薬剤等に問題があるケースがほとんどです。あまり表には出ていませんが、調べてみると同様のトラブルはちょくちょく起こっているようです。

今回の亀頭増大手術も同様です。注入直後から痛みを訴えられた様ですが、どの様な注入剤をどれだけ注入したのでしょうか?どの部位に注入したのでしょうか?通常、体内へ注入する注入剤は、永久的に安全であることが大前提です。

当院でも亀頭増大手術は行っています。使用している注入物は吸収性のヒアルロン酸であり、経年で加水分解して全て無くなります。なかには「費用の事はいいから、無くならない注入物を使った亀頭増大手術をしてくれ」という患者さんもおられます。しかし、当院では「本当に安全なのか?」「そのリスクは?」といったことを最優先で考え、リスクのある依頼はきちんと説明をしたうえでお断りしています。開院から20年以上経ちますが、特に事故は起きていません。

他院のHPなどを見ていると、未だにアクアミドバイオアルカミドといった非吸収性の注入物を使用しているにも関わらず、安全と言い切っているケースも見受けられます。中には非吸収性ヒアルロン酸とうたい、吸収性のヒアルロン酸に非吸収性の物質を混ぜているといったケースも。。。
当院からすれば、信じ難い話なのですが、これも現実です。

なお、今回提訴されたという医療機関は当院とよく似た名称の医療機関のようですが、当院とは一切関係がございません。

それにしても、自己責任であるとは言えど、患者さんの気持ちになると気の毒で仕方がありません。

■参考記事  https://mainichi.jp/articles/20180203/ddl/k12/040/141000c

(参考)
亀頭増大について