診療現場からの報告

第17話:亀頭と包皮の癒着 [院長/西川]

小児の場合は皆が包茎な訳ですが,亀頭と包皮の癒着が強かったり、恥垢が原因となって炎症をおこす(亀頭包皮炎と呼びますが)場合には、 亀頭を露出する目的で、背面切開(包皮を縦に数cm切開して、横方向に引っ張って縫合するのですが)と呼ばれる手法が用いられます。

小学生時に、この背面切開を受けられていた50代の方が、今日来院されました。普段から多少の痛みがあり、勃起時にはその痛みも強く、窮屈感はかなりあったとの事。 診察してみると、亀頭と包皮の癒着がかなり強く、炎症もあって、亀頭が一部覗いてはいるものの、全く露出できない状態でした。病院には行こう、行こうと思いながら、この年まで放置していたとの事。

手術によって、包皮小帯の周囲の皮膚のだぶつき(かなり肥厚していましたが)を取り除いて、なんとか亀頭を露出させる事は出来たのですが、亀頭と包皮の癒着があまりに強く、無理はせずに経過を見る事にしました。

亀頭と包皮が癒着している方でも、ほとんどの場合、その癒着はきれいに元に戻せるのですが、今まで、1例だけどうしよもないような癒着の方がいましたが、残念ながら今日のこの方が2例目になりました。

小児期に背面切開を受けられていても、必ずしもそれで十分な訳ではありませんので、やはり亀頭が十分に露出していないような場合、炎症を繰り返すような場合は、 放置せずに(恥ずかしがらずに)専門医の診察を受けるようにして下さい。