診療現場からの報告

第10話:淋病に薬が効かない? [院長/西川]

今年2月頃、排尿痛と排膿を主訴に来院された40代の男性の方の話しですが、それほど強い症状ではないためか、数ヶ月放置していて、その症状から淋菌性尿道炎が疑われて、 診察時は排膿がほとんど見られなかったのと、ご本人が検査をしたがらないので、投薬で様子を見ることにしました。

1週間の投薬で症状に改善がなければ来院するようにと話していたのが、2ヶ月以上経過して来院されて、排尿時の痛みはなくなったんだけれど、 尿道あたりのむずむずした感じ、違和感がなくならないと言われて、投薬内容を変更しました。

検査は相変わらず拒否されるし、1週間後の来院予定もキャンセルされて、再度3ヵ月後の今日来院されました。以前の投薬内容とその経過からは、クラミジア、あるいは、非淋菌性の尿道炎などは考えにくく、やはり淋菌によるものと判断できるんですが、ご本人の病識があまりに低い事に呆れていました。

男性における尿道炎については、適切な抗生剤の投与で、短期間できれいに治癒するのですが、数年前から、薬剤耐性(従来の抗生剤では効かない)をもった淋菌が報告されるようになってきました。 まだ当院では、この薬剤耐性の淋菌性尿道炎はほとんど見かけませんが、上記の方のような病識(平気で放置していたり、受診するのを邪魔くさがるような)では話にならず、薬の処方を受けているが一向に症状が改善しない場合は、耐性菌が疑われるので、絶対に放置すべきではありません。